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■結局オジーのヘビメタとは?
アルコールや薬物、過激なパフォーマンスなど破天荒な伝説を引っさげ、現在もメタル界の重鎮としてその名を知らしめるオジー・オズボーン。彼が産み出した「ヘヴィメタル」という音楽の性質。結局、それはどういったものなのか。一体、何故オジーはメタルを産み出したのか。それはブラックサバス時代に、人間の恐怖心に対する興味や欲求にロックミュージックで応えたという点が根本だ。
ドラッグの体験やアルコールのオーバードーズ、悲劇の実体験、オジーの様に実生活で得た黒い感覚をヘヴィメタルという表現で出力する。彼の音楽や、彼の産み出した「ヘヴィメタル」という音楽を聴き、心に染みると感じる時、泣きたい様な感覚と快感が同居した、何かが浄化された様な気分になる。その、聴き手にカタルシス作用をもたらす音楽的アプローチは、オジーによって色濃く具現化された。
オジー・オズボーン率いるブラックサバスが掲げた「人を怖がらせる悪魔的な音楽」というコンセプト。そこから派生したヘヴィメタルという音楽。それは、単に「様式化されたハードロック」という訳ではなく、人間の本質的であり、燻りがちな欲求を昇華させる力を持っている。
ヘヴィメタルという音楽には、メロディの美しさやリズムの気持ち良さ、歌詞への共感や一体感、それらよりも「更に深い感覚下での共鳴」がある。ヘヴィメタルという音楽はまさにこの「共鳴」する点が、黒く、深く、人間の最深部に到達し突き刺さる。
オジーは暗黒世界を共鳴させる音楽を具現化し、作品とパフォーマンスとフェスでヘヴィメタルを世界に広め、今日まで多大に展開させた。これらの功績と彼の人物像そのものが、オジー・オズボーンという人物がヘヴィメタルの始祖、象徴、ヘヴィメタルの源流とされる所以なのではないだろうか。