ここだけ毎日更新。ツイートばりの短文日記。
忙しくてハゲるのではと懸念する。8月。
たいへんな湿気に曇り空という残念な天候下、普段通り仕事をして過ごす。夕方あたりまで一切覇気がない。だからささやかな楽しみについて考える。
巷ではドラゴンクエストの新作で賑わい、ゲームをやらない僕はとても羨ましく思う。「これが済んだらドラクエ!」「もうちょいで仕事終わらせたらドラクエ!」という感じの、ささやかな楽しみが自分にはどうも欠落している気がする。覇気がないのも必然である。
「これが終わったらお楽しみだ」というのは、いくつも持っておいた方が良い。僕はせいぜい漫画を読むか酒を流し込むか、くらいである。だから僕は、見ず知らずの凄く気の合うミステリアスな女性なりと夜な夜なチャットを交わすという楽しみを得るという想像をした。
ややこしいが、想像である。「これを片付けたらあの娘と絡もう!」なんて楽しみがあったら、僕はたいてい覇気みなぎる日常かもしれない。そんなものはないのだが。もう面倒くさいから酒呑もう。試合放棄気味の呑み方もほどほどにせねばと、思うには思う。
_08/01
試合放棄どころではない。とてもたて込んでくる。気合いを入れるために「富士そば」で一目置いているやつを食べる。
そいつにはワサビに加えトウバンジャンも添付されており、肉や海苔やワカメやネギが混在した何かとスペシャルな蕎麦だ。名前は「冷やし肉富士そば」だった気がする。
これがしょっぱくて辛くて高血圧の方には全くおすすめできないエナジー系蕎麦なのだが、超おいしい。そういった訳で気合いも入ったので、明日も前向きに凌ごうと思う。
_08/02
昨日やり終わらなかった採譜をしなければと思い飛び起きるが昼。これはいかんと思いつつやりおおす。
取材案件のため南北線に乗って目黒までヒュッと行く。実にフレッシュな十代の方と小一時間ほどお話して帰る。
帰り、王子5丁目団地の中心で弁当を食う。俺は団地マニアなのでたいへんリフレッシュする。戻って原稿を書く。といった、いそいそとした曇り空の一日。
_08/03
昨夜は酒を呑みながら、YouTubeでサンドウィッチマンのコントを見続けてずっと笑っていたからか、起床したら顎が痛い。昼イチにギターレッスンへ行く。
帰り、楽器屋に寄って弦とかを買う。Vドラムをボコボコと試奏していた女子高校生が印象的だった。
楽器屋さんで試奏している子や、ギターを背負って歩いている子を見かけると、無条件で「頑張ってね!」という気分になる。俺はもう子が2人いてもおかしくない歳だ。だからかもしれん。
帰ってソファでちょっと寝て原稿書きをやって、19日のパラダイスロスト公演の練習もする。俺の譜面立てが大量の楽譜で埋め尽くされている。
サイヤ人が使っているスカウター的なものを装着して、そこから譜面が写し出されればとても便利なのに、と思うがまだ現代では無理かもしれない。
_08/04
ゴミを出し忘れたのでもう何もかも燃やしてやろうかという衝動にかられる。しかしそこはぐっと堪えていつものように仕事をする。公演の練習をする。LINE電話で後藤氏と打合せをする。明けて月曜だから毎週たのしみにしている週刊スピリッツを買いに行こう。
_08/05
どうもスピリッツが売っていないと思ったら明けて月曜は今日だった。連日の熱帯のようなモアモアした湿気のせいでハラの調子が優れないのでジョアを飲んで散らす。明日は機材を持って出かける日だというのに台風が来るそうな。びっくりするくらい逸れて欲しい。_08/06
サウナみたな天気だが張り切ってリハーサルへ行く。一日みなさんと音合わせをし、心は快適に過ごす。今回の公演ではパーカッションのパートも振り分けられそうだ。なんとも難しそう。
_08/07
昨日一日中大きな音を吸って出して過ごしたからか体調が良い。でかい音で音楽を浴びるのがやはり一番体に良いそうな。今日は仕事をして村上邸へ打合せがてら行き、あとはだいたいアコースティックギターでバトルをするという日。
誰かと音を合わせたり、目の前に聴いてくれる人間が居るということは、目に見えない至極良質な波動だかパルスだかが出力・入力され、これまた心身共に文句なくみなぎる。
「何をしているときが最も楽しくて面白いか」ということについてここ2週間ほど鬱積の淵で考えては思考乖離に陥っていた気がするが、結局、「誰かと、何かをやる」というのがそうである結論であろう気がする。
「一人で、何かをしているんだかしていないんだか」が、最もつまらなく辛いというまあまあ誰しも陥り易い地獄。
_08/08
なんともいそいそとした日で明らかにストレスを感じたため「ラーメンライス」を腹一杯食べて散らすという、わりと正統派寄りの発散を決める。ゲフ。
_08/09
原稿書きをしてリハに行ってとなかなか涼しい日。なんかいつもよりも時間が過ぎるのを早く感じる。遅く感じるよりはいいと思う。
「ケンちゃんはなんでアカギに似ているの?」
「アカギって赤木しげるのこと?」
「そう」
「足立君、アカギの最期を知っているかい?」
「しらん」
「彼は晩年、アルツハイマーに罹り、自分が自分でなくなって死ぬことを頑なに拒否して、自殺幇助装置『マーシトロン』を使って仲間に囲まれて死ぬんだ」
「アンタはそれ止めとけよ」
僕は赤木しげるにはそんなに似ていないと思うし、マーシトロンを使おうとも思わないが、彼とのこのちょっとしたやりとりには何か深い意味があるようで、びっくりするほど何もない。
_08/10
腹が減っているときにスーパーへ行ってはいけないというのは主婦界隈では徒然の鉄則であるが、昨日はほとんどメシを食べなかったので、起きたら腹ペコだった。俺は起床20分でまずスーパーへ行った。
ふだんはまず買わないという果物コーナーで色鮮やかなフルーツたちに心を奪われ「モモ」を買った。朝メシだけを買いに来たつもりだったが、様々な食料を買いあさり会計1226円。今後腹が減っているときはスーパーへ行くことを固く禁じることにする。
「モモ」を数年ぶりに食う訳だが、どうせなら震えるほどおいしく食べたいので、まずは冷凍庫に入れてキンキンに冷やした。小一時間したら冷蔵庫の方に遷移し、とびきりの冷感でフルーツをやろうと思う。
しかし、原稿を長時間書いていたら「モモ」の存在を忘れる。当然カチカチに固まった訳だが、この状態でシャリシャリとやる気にはならない。今日は冷凍フルーツをやりたくなるほどではない涼しさ。
手遅れだが、冷蔵庫でゆっくり解凍することにした。という訳で「モモ」は凍らせられたり解凍されたりとさんざん焦らされて震えながら冷蔵庫で待機している。明日が楽しみである。食べ終わったら種を植えて「モモ」を増やそう。
_08/11
どうも雨や湿気の多い日が多いので、過去の8月の天気を1980年代から調べてみたが、だいたい3、4日が雨という年ばかりだった。今年の夏は異常気象気味なのだろうか。というくらいわりと暇な日。
原稿おこしを1本だけやって、あとはギターを練習して、さしみを買ってくる。最近いそいそとしていたから本当に丁度よい。
_08/12
かげろうとコウモリと手のひらを足したような生き物が飛んでいるのを見かけた。薄いグリーン色の羽根が街頭に透けてこの世のものとは思えない美しさと不気味さだった。
反射的にスピリチュアルな思考が巡るほど幻想的なその姿は、僕に何か儚くも神々しく、幽玄な心境にさせる景色だった。
あまり歓迎できない瑞々しさの気候の夏の夜に、一服の麻薬的な清涼剤のような、ほんの数秒の光景だった。
いつものように時間を過ごし、いつも会う人ともそうでない人ともふれ合い、刺激も快感も不安も安堵も何度もあった普段の一日に、最も感受した瞬間がその数秒だった。
利でも害でもない、何ということもない出来事が最も記憶と感性に残るという日は、大事でも不要でもなく、こう、残しておくべきかと思った。そういう日の方が多いのも考えものだが。
_08/13
あまりに曇りや雨の日が続くので、もうイギリスに居るという風に考えようと思う。英国は年中曇り空らしい。最近のいそいそのせいか、また手首と指がちょっと痛くなってきた。もう職業病と判断する。せつない。
_08/14
19日の公演演奏の練習を自宅でひとり全曲やったらたいへん疲れる。みんなとスタジオで練習すると何10曲やろうがそうでもないからこれは不思議なことである。
酒もそうだが、ひとりでしんみり呑んでいるときは2杯で仕上がってさっさとペロペロになり寝る。しかし、みんなと呑んでいると5杯も8杯も呑んでやんやちゃっちゃと騒ぐ。
めしに関してもそうで、一日ひとりで過ごしていると下手すると1食しかしない。でもみんなといると健康的に腹ペコになり、女性といるときなんかは普段は食べないクソ甘いスウィーツも平気でほおばる。
誰もがそういうものなのか、手前が本能的な欲求まで感化されやすい性質なのか、ひとりというのはたいへん貧弱な存在なのか、どれなのかという疑問。
_08/15
昨日と同じ感じの時間軸で過ごす。原稿を書いたり楽器練習をしたりと静かな盆の時期。
盆の時期だからかは分からないが、不思議なもので起きがけに、今日は一緒に音楽をやっていた知人の命日であることを思い出す。
なんとなくその日に思い出すものだから、盆にはやっぱりスピリチュアルな何かしらが働いているのだろうかと思う。とても静かな一日だった。
_08/16
酒も呑まずに熟睡。タクシーがつかまらない。リハーサルに行く。蒸し暑く腹が減らない。みんなでトランプ勝負をして遊ぶ。2勝1負。恋愛観や結婚観の話をする。
_08/17
明日はパラダイスロスト公演なので、ひとり確認練習をしたり原稿を書いたりして静かに暮らす。
ちょっと晴れ間がみえたので、歩いて10分ほどの大掛かりな解体現場へ散歩に行く。破壊中の剥き出しの謎建造物などが散見できるここは廃墟マニア欲をたっぷりと満たしてくれるスポットだ。
もともと何の施設かも謎のこの場所は、喩えるなら九州の「軍艦島」の内部ような、「現代では全て無用の建築物および施設」これらが寂しそうに佇み、少しづつ、現在進行形で淘汰されていく、凛として侘しい風骨だ。
夕方であったため、作業は終了しており、人影は一切なく、少しばかりなら許されると思い中へ入り、無機質な空気を堪能かつ撮影にいそしんでいた刹那、おじさんに入り口を閉められる。ピシャ。
つい迷い込んだ、ごめんなさい、開けて。と懇願すると「おたくどちらさん?」と苦笑いされ、入り口を開けてもらう。大人のすることではなかったと猛省。しかし隙をみてまた入ってやろうと思う。いや、やめとくべきである。
というくらい魅力満点のスポット。マンション5棟分程度のその敷地内の不要な建造物が跡形も無く撤去され、綺麗に整備され、どんな新しい施設やらになるのかという点には、不思議と興味が湧かない。
_08/18
後藤氏と渋谷へ向かう道中に本気っぽい晴れ間が広がり、8月オール雨という流の中でパラダイスロスト公演の日だけ晴れるとは実にニクい、とか話していたが夕方には雷。
天候不安定な中で集結した皆様とのたのしい時間に感謝の意は禁じ得ないが、リハでもやらなかったことを急に本番でやるという、本公演ならではの数々に失禁しそうになるもそこは大人だから決して漏らさずに皆様と楽しい時間を過ごす。
一緒に楽しい時間を過ごしてくれた皆様に、心よりの感謝を申し上げます。
_08/19
机で一言も発さずにただカタカタと終日過ごす一日。モロヘイヤがおいしそうなので温かいスープにして食べて、何と平和な日だと思う。酒でもすすって寝ようかのう。
_08/20
隣のアパートに住む中南米系の外国人が玄関でこっそりネコにめしをあげている事を俺は知っている。
しかし、その部屋はつい半年前に「ネコ屋敷化」が原因で住人の凶暴な老人が追い出されたという事実があるのだ。
中南米系のネコ好きがニャーニャーめしをせがまれては焦らして与えているその姿を横目に、俺はその事実と「程々にしないと大家がおかんむりだ」という旨を伝えたいのだが言語が不明だ。
あと、「ネコは人ではなく家につく」という日本のことわざ的な事も伝えたいが、「いいや南米のネコはそんなことはない」と反感をかうのも悲しい。
さんざん考えた挙げ句、もちろん放っておく訳だが、どうか南米系とネコがうまい具合に幸せに暮らせたら微笑ましくも、強制退居をくらった前居住者の老人も少しは浮かばれる気がする。
_08/21
眠くて夢うつつな一日であった。疲れがたまっていそうな気もするので、仕事を程々にしてテルマエにゆっくり浸かってビール呑んでグウグウ寝よう。
来月頭に3日ほど豪快に遅めの夏休みをとろうと思う。今月はいそいそとしていたので、ここぞとばかりにのんびりと過ごし、贅の限りを尽くしてやりたい。スイカをまるごと割ってそこにシャンパンを入れて飲んでやろうか。一人でやったらだいぶ切なそう。
_08/22
やっと夏らしい天気になって嬉しむが、カレンダー的な夏はあと一週間しか過ごせない。蝉か。
結局このあいだの公演でやることにはならなかったが、作成だけしておいた「海の声」の楽譜が、夏を取り残されたかのように譜面立てにずっと置いてあって何だか切ない。
_08/23
何故こんなに立て込んでいるのかと考えるが、気が付いたら横浜に居る。今日は僕も好きなスピッツのライブだ。楽しみだな。
実際楽しかったので、純粋に楽しむためだけの為に来たいとか帰路で考え「ロビンソン」を口ずさむもキーが高くてむせる。
お家に戻って原稿を書く。僕は「締切り」というものに追われるのが夢だと20代の頃に掲げたがとうとう現実になった。たしかその頃にmixiの日記にそう書いたのを覚えている。夢が叶ったのかどうなのかよくわからない。
_08/24
ギターレッスンに行って、戻って家で机仕事をコリコリする。なかなか疲れるここ最近なのでアコギを弾いて小唄をでもと思い、部屋でひとり歌う。
小一時間ほど気持ち良く歌ってリラックスしていたのだが、どうも外国籍の隣人がゴトゴトと音を鳴らしている気がする。抗議の壁ドンだったらまずいなと思うが、英語の歌なのできっと大丈夫だろう。うるさかったら本当にごめんなさい。
_08/25
自宅でレッスンをしたり、ちょこっと原稿仕事をしたりと、わりとゆったりめで良いと思う。蕎麦食べて公園で体操して過ごす。
道中、4匹一列に並んで憩う野ネコたちを見かけ、よっぽど撮ろうと思ったがネコ・フォーメーションが崩れる恐れがあったので遠目で眺める。どういったつもりで縦に4匹一列で並んでいたのであろう。まあまあ涼しい日。
_08/26
8月に入ってというものの有り難くもずっと立て込んでいるが、もう少しで俺の夏休みがやってくる。あと数日である。あと数日で海パンでハッスルして良しである。ムシ籠と網を持って狩りに行って良しである。そういった童心に返った心境でアダルトな遊びに耽りたい欲があるにはある。
_08/27
どうも疲労が溜まっている感じなので、ささいなことから神経の疲れはとれないものかと思い、なるべくスマホを見ないようにして過ごした。
案の定、何も困らず、如何に自発的な風景や思念や想像を排除している日常に移行しているかということに気付く。
_08/28
よく行く蕎麦屋が近代化のよかならぬ波に乗ったのか、何かが面倒になってしまったのか、経営者が変わったのか、全くもって理解できないのだが、蕎麦湯入れにちゃんと入れてホカホカの蕎麦湯を提供してくれるシステムが、「ポット」みたいのに一括して蕎麦湯がストックしてある所でのセルフサービス式となっていた。
それに伴い、容器内で蕎麦湯をかき回すという行為は当然ないのだから、うわずみだけの薄い蕎麦湯、もはや只の湯みたいのしか出てこない。もう、今夏で最高に残念な気持ちになったという悲しい日であった。ささやかではあったが、鉄板の幸福であったがだけに。
_08/29
終日仕事をしてクタクタを超え、逆に頭が冴えわたり澄み切ってくる。これを何度も何日も繰り返すとハゲてしまいかねないので寝よう。今日、知人に「俺、ハゲないよね? 大丈夫だよね?」と頭皮を見てもらったところ「まだ大丈夫」と言われた。まだって何だ。
_08/30
これでもかという程いそいそとした月だったが、31日になってみると月初めの女子高生シンガーソングライターのインタビュー案件など一昨日くらいのことに思える。パラロス公演やスピッツ取材なんかは昨日くらいのことに思える。
歳を重ねると月日の経過が速く感じると巷では言うが、どうなのだろう。20年前の今日あたり、俺は何をしていたか思い出してみる。さすがに大昔と感じる。
モスグリーンのブレザーを着て足立区立の高校生、ディスカウント系酒屋で時給900円くらいのバイトをして、「LARK」をスパスパ吸いながら4号機のパチスロを打って、HONDAの原付「DIO」で帰宅、ギターでAC/DCやエアロ、レニクラやレディヘ等の洋楽コピーに勤しむ。そんな感じだった気がする。
そのうち後者の2つは今もそんなに変わらない訳だから、えも言えない気持ちが20年分ヌルっとする。20年後の今日は何をしているだろう。
ギターは是非弾いていて欲しいが、シニアに片足突っ込んでいる頃だから原チャリはよしてほしい。いかつい単車だったら逆にクールなシニアかもしれない。
あるいは高校生の小生意気な娘だかに、
「バイトもいいけど、高校へちゃんと行け!」
「パチスロはヤメとけ。今の台では勝てん! お父さんの頃の台はなあ……」
「メットをかぶれ! メットを!」
「レスポールはまだ早い! ストラトにしなさいストラトに! 一回お父さんの青いやつ弾いてみるか?」
「グレッチはもっと早い! それじゃ椎名林檎のフォロワー丸出しだろ! 何? 知らない?」
という怒号がリビングに響く確率ばかりはなかなか低そうだ。
_08/31